2023.05.27[土] 『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の感想。記憶というキーワード

「ヘブンズ・ドアー」
「今、心の扉は開かれる…」
"ジョジョの奇妙な冒険"のスピンオフ、"岸辺露伴は動かない"
原作はコミックなんですが、NHKで実写化として放送されたら…
大反響!
僕も最初は斜に構えてましたが、第一話からめちゃくちゃ引き込まれました。
本当に面白い。
ここ数年の実写化で一番の成功だと思います。
そんなスピンオフが3回のテレビ放送を経て、ついに映画化。
タイトルは、

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
(公式サイト)
原作は2009年の同名のマンガ。
14年の時を経て映像化です。
26日より公開されました!
そして、本日は舞台挨拶付き上映。
海老名のTOHOシネマにて鑑賞してきましたので、感想を書いていきたいと思います。
が!
ネタバレも含みますので、この先は「追記」に隠します。
なお、今日のブログに直接アクセスした場合は追記が隠れずに表示されております。
まだ未視聴の方はご注意ください。
それでは、詳しい感想は追記へ。

※ここからは『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のネタバレが含まれます。
ご注意ください。
原作は未読ですので、完全初見で挑んだ、今回の映画。
なので、先入観なしで世界に入り込めたと思います。
現代日本、過去日本、パリ、江戸時代。
この3つがひとつの作品として同居してるの、普通に頭おかしい。
それで破綻してなく、ちゃんと中心に岸辺露伴がある。
彼のルーツも読み取れる、ドキュメンタリーのような作品。
映画がひとつの芸術品でしたよ。

「最も黒い絵」を巡る物語。
パンフレットも黒。
黒だよ……真っ黒!
K'のMAX2とか、誰に伝わるんだ、これ。
このパンフレットの中で、なるほど!と思ったところ。

それが「モナ・リザ」
映画内でも露伴先生が「モナ・リザに似てる~」というくだりがあって、それは露伴先生というより高橋一生さんが似ているのでは?
と思ったら、マジで本物のモナ・リザと高橋一生さんを並べてて笑ったよねw
しかも、前後のつなぎを考えても、どう見ても入れなくても成立するシーン。
これ無理矢理ねじ込んだでしょww
と、ちょっと面白くなっていたんですが…。

今回の真のヒロインともいえる、奈々瀬。
彼女の、笑みとも悲しみともとれる絶妙な表情。
それが、モナ・リザと重なる。
こんなようなことがパンフレットに書いてあったんですよ。
はぁー、なるほどなー。
そういう意味でも、あのモナ・リザのくだりは必要だった、と。
こういうメッセージを汲み取っていくと、さらに作品の解像度があがりますね。
ちょっとしたワンカットにもこだわってたのを感じましたし。

そう、こだわり。
劇場版ということもあり、テレビ版でやらないような、細かなカットが多かったのも印象的でした。
例えば、幻覚のくだり。
ジャックが手すりから落下するシーンでも、回想でプレートアーマーを登場させました。
時間にして2秒ほどのカットですよ。
たったそれだけのシーンのために、わざわざ鎧を発注して、スタッフに着せて、剣を振ったんです。
露伴先生の言葉を借りると「リアリティ」
映像としての完成度のために、手間を惜しまない。
今日の舞台挨拶でも、ルーヴル美術館のロケは二日かけたと話されてました。
けど、実際に映画を見てると、二日もかけたボリュームか?
という印象。
きっと、膨大な没カットや、一瞬のカットにとても時間をかけたシーンなど、たくさんあるのでしょう。
だから、映像美としての精度も高い。
決してテレビシリーズの延長で撮影していない。
劇場版だからこそのクオリティを目指した。
そう感じます。

あと、個人的によかったところは、泉京香の父親のところ。
泉くんの家族については、BDの特典で判明にしてはいたんですよ。

5歳に父親をガンで亡くしています。
わりとヘビーな過去を背負ってるな~と思ってたので、この設定が拾われて良かった。
ただね。
病死とはいえ、父親を亡くしたことに罪や後悔はないのかな?とは思っていました。
なのに、黒い絵を見ても無事。
ふむふむ。
あれは、もしかしたら、ルーヴル美術館の入口で、父親と同じ場所で写真を撮れたから。
これが彼女にとって救いとなり、後悔はなくなった。
だから絵を見ても平気だった~とか、映画を見ててやんわりと思っていました。
まぁ、実際は彼女は「危険回避」の能力がズバ抜けてるだけって説もありますが…。
幸運に全ステータスを振り切った、ある意味「ギフト」を授かった人物なのかも。
あなどれないです。

最後に、露伴先生を演じた高橋一生さんについて触れたいと思います。
今日の舞台挨拶で、こんな言葉を残してくださいました。
・今の時代は作品や役者の消費が早い
・すぐに忘れられてしまう
・そんな中でも岸辺露伴がみなさんの心に長く残る作品であってほしい

今回の映画は、記憶もひとつのキーワードでした。
記憶を消して危機を脱した露伴先生。
「忘れて」と願った奈々瀬。
「あの夏も僕にとって必要な過去のひとつだ」と伝えた露伴先生。
記憶。
この映画が、みなさんの記憶として残り続ける。
それは役者のエゴでもあり、願いでもあります。
2009年に執筆されたマンガが、こうして14年後に映像化されて、みなさんの記憶に宿る。
荒木先生も、同じ気持ちでしょうか。
たくさんの消費の中で、上書きされていく記憶。
けど、それは決して消えることはない。
本人が忘れていても、記憶は記録されている。
それを暴くのが、「ヘブンズ・ドアー」
今、心の扉は開かれる。
あの、舞台挨拶での言葉。
あれは、高橋一生さんの言葉でもあり、岸辺露伴の言葉にも感じられました。
多くの方に見てほしいと、僕もいちファンとして強く願いたいです。
そんな『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
絶賛上映中です。
是非、劇場まで足を運んでほしいです。
よろしくお願いします。
以上、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の感想でした。
それでは。
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