2012.07.03[火] 夢を買っただけ。それだけの話さ。

『アイドルマスターシンデレラガールズ』
言わずと知れた、アイマスのモバゲーである。
この作品には100人を超えるアイドルが登場する。
キャラクターはコストで分けられ、当然、高コストのアイドルほど強く、希少価値も高い。

そのため、低コストのアイドルたちは淘汰され、忘れられる運命をたどる、厳しい世界でもある。
そんなモバマス業界に、過去、一石を投じる事件がおきた。

ニュージェネレーション
低コストだったアイドルが、あらためて高コストとして再投入されたのだ。
この渋谷凛をきっかけに、今まで光をあびなかったアイドルが、再評価されることが多くなり、全てのアイドルたちに可能性を示す流れが出来上がった。

そんな中、僕のお気に入りだったアイドルも、次々と生まれ変わっていった。
何の特技もなかったノーマルアイドルが、レアアイドルとして再登場してくれるのは、成長した我が子を見ているようで嬉しかった。
だが…。
この時、僕はまだ知らなかった。
いや、考えるのをあえて避けていたのかもしれない。
自分の好きなアイドルが再登場すれば、手に入れればいい。
その行為が、どれだけ重いかということを。

先週、事務所対抗のフェスが開催された。
モバマスに登録されてる200万人のユーザーの中から、トップの事務所を決めるアイドルたちの祭典。
第3回目となる、このイベント。
上位に入賞すれば、このフェスだけのために投入されたアイドルを手にすることができるという。
そのアイドルの名が…。

「佐城雪美」
そう。
僕の愛して止まない雪美が、ついに高コストとして再投入されたのだ。
しかも、イベント上位報酬として。
レアアイドルだった雪美が、スーパーレア化してくれたのは純粋に嬉しい。
だが…。
彼女は上位報酬。
入手条件は、フェスで1200位以内に入賞すること。

モバマスユーザー200万人の中から、1200位以内。
それはもう絶望的といっていい狭き門だった。
これは、そんな上位報酬をめぐって巻き起こった、あるプロデューサーの真実の記録である。

「汚ぇ…汚ねぇぞ運営。
何も知らない少女を上位に祭り上げて…」

「そして、オレたちに課金させようとしてやがる!
欲しければ払えと…。
課金しろと!
雪美をエサにして…!」

「けど…。 けど、これは手がでない。
イベント上位なんて、一日中、携帯電話にはりついてでもしないと取れやしない。
仕事をしてる社会人には無縁のランク」

「今まで、オレの嫁が上位報酬にならなかったのがラッキーだったんだ…。
だから、ここは諦めて…」

「悔しそうだねホッパーくん」
「え?」

「上位報酬は欲しい。けど、時間もなくて走れない。
個人の都合もあるから、それは仕方がないよね」
「は、はぁ…そうですね」

「そんなホッパーくんのようなユーザーのために、チャンスを与えてくれる場所があるんだよ」
「なに?それはいったい…!?」

「それはトレード」

「トレード…?」

「そう。 上位報酬を手にしたけど手放す人も中にはいる。
だったら、その人と直接交渉して、交換してもらえばいい。
それがトレードだ」

「いい話だけど、もちろんタダじゃないんだろ?」

「もちろん。
ショップで買えるスタミナドリンク、これと交換になる」

「はっ、やっぱりそういう話か。この運営の回し者め!」
「まぁまぁ、そう邪険にしないでくれホッパーくん。
あくまで、”手に入る方法がある”ということを伝えたいだけなんだから」

「それに、これなら確実に上位報酬が手に入る。
”ホッパーくんだけ”の雪美ちゃんがね」

「……っ」

「じっくり考えてくれていいよ。
スタミナドリンクが買いたくなったら、いつでも声をかけてくれていいから」

「ぅぅ…」

(雲の上の存在だった上位報酬が、トレードすれば手に入る)

(今なら交換できる。 だが…!!)

「………」

(ホッパー、わたしは……ここ……)
「…っ!」

「スタドリください…」
「はい、毎度有り!」

「これで弾はそろった。
あとは…交渉だけだ」

「もう後戻りはできない、行くしかない!」

「うぉおおおおーーっ!!」
結果↓

SR雪美 2枚トレード完了!

「うひょぉぉぉおおおお!!眩しいぃーーっ!!!!」

「これが上位報酬の輝きか!!!!」

「オレはやり遂げたんだ!これでオレのデッキも最強だぁーっ!
ひゃっほぅーーっ!!!」

(はっ、またバカがひとり釣れた)
(一度、上位に手をつけたら最後。もっと欲しくなる、もっと課金したくなる)

(せいぜい、いい夢見ろよホッパー)
(さーて、次は誰を上位報酬にするかなー、と)

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